新名神・宇治田原IC、開通はいつ?遅れの理由と最新情報【定点観測 第1回】

高速道路トンネル工事現場(新名神)
新名神高速道路の工事現場 / 出典: Wikimedia Commons (CC BY 4.0)

【結論を先に】新名神高速道路・宇治田原IC周辺区間(大津JCT〜城陽JCT・IC間)は、2025年12月時点の進捗を踏まえると、残工事の完了まで少なくとも3年以上、工事の進み具合によってはさらに1〜2年を要する見込みです。当初の開通目標だった2024年度末からは大幅な遅れとなっています。

新名神高速道路とは──大阪〜名古屋を結ぶ「もう一本の大動脈」

新名神高速道路(E1A)は、三重県四日市市から神戸市までを結ぶ延長約174kmの高規格幹線道路です。東名・名神と並ぶ「第二の大動脈」として計画され、既開通区間では慢性的な渋滞が続く「天王山トンネル」「京都東IC」「草津JCT」周辺の抜本的な解消が期待されています。

このうち最後まで工事が残る未開通区間が、大津JCT(大津市)〜城陽JCT・IC(城陽市)の約25kmです。宇治田原町はちょうどこの区間の中央に位置し、「宇治田原IC」の整備が計画されています。

「いつ開通するの?」──現時点での見通し

NEXCO西日本と国土交通省は2024年2月の時点で「開通は2028年度以降」と発表しました。しかし2025年12月18日に開かれた連絡調整会議では、工事の進捗状況を踏まえてより具体的に「今後の土木工事・橋梁工事・舗装施設工事の完了までに少なくとも3年以上、工事の進捗によってはさらに1〜2年程度の期間が必要」とする見通しが示されました。

宇治田原町の公式発表でもこの内容が確認されており、2025年12月を起点に計算すると、最短でも2028〜2029年、場合によっては2030年以降になる可能性が現実味を帯びています。

区間距離最新の開通見通し
大津JCT〜城陽JCT・IC約25km2028年度以降(最短)〜2030年度以降の可能性も
八幡京田辺JCT/IC〜高槻JCT/IC約10.7km2027年度開通は困難(時期未定)

なぜこんなに遅れているのか──3つの主因

① 宇治田原ICに競走馬育成施設があった

宇治田原IC予定地(郷之口豊前丈101番地周辺)には、競走馬育成施設「宇治田原優駿ステーブル」のトレーニングコースが存在していました。馬への影響を懸念して、工事着手前に不可欠なボーリング調査や測量を大々的に実施することが長期間難しい状況が続きました。

施設は後に町内・奥山田の国道307号茶屋トンネル付近へ移転しましたが、移転先の工事遅れが用地引き渡しを遅らせ、本体工事への着手が大幅に後ろ倒しになりました。

② 広範囲にわたる軟弱地盤

宇治田原IC周辺から城陽市東部一帯はかつて大規模な山砂利採取地でした。採取後の埋め戻しに粒子の細かい粘性土が使われた上に転圧(地盤を締め固める作業)が不十分で、地盤が想定以上に軟弱な状態になっていました。

掘削前に広範囲の地盤改良が必要となり、工法の変更も余儀なくされました。NEXCO西日本は2025年1月、地盤改良の範囲拡大と物価上昇を主因として、事業費を720億円増の8,377億円に見直すと発表しています。

③ トンネル・橋梁工事の難航

宇治田原町内では延長約2kmの「宇治田原トンネル」の掘削が進められており、上り線は2025年4月に貫通式を迎えました。ただし内装・舗装などの後続工事が残っており、トンネル単体の完成後も橋梁工事・道路盛り土と組み合わさって初めて供用できる構造です。

宇治田原ICができると何が変わるのか

宇治田原ICは、現状アクセスが限られる宇治田原町にとって画期的なインフラです。開通後は大阪・名古屋方面への所要時間が大幅に短縮されるほか、IC周辺への物流拠点や商業施設の立地が見込まれ、町の経済・雇用に大きなインパクトを与えると期待されています。

「3年以上」の起点は2025年12月──最短でも2028〜2029年

「少なくとも3年以上」という見通しの起点は2025年12月時点です。すべての工事が順調に進んだとしても最短で2028年末〜2029年頃の開通となります。地盤改良の追加対応や資材・労働力の状況次第では2030年代にずれ込む可能性も排除できないとみられています。

また、大阪側の「八幡京田辺JCT/IC〜高槻JCT/IC」区間(約10.7km)も2025年12月に「2027年度開通は困難」と正式発表。枚方トンネルのシールド工事着手が2026年冬以降の見通しで、開通時期は「掘削完了後に改めて公表」とされており、新名神の全線開通はさらに遠のいています。

まとめ(定点観測 第1回)

  • 大津JCT〜城陽JCT・IC:2025年12月から少なくとも3年以上(最短2028〜2029年、場合により2030年以降)
  • 主な遅延原因:競走馬育成施設の用地問題(宇治田原IC)+広範囲な軟弱地盤
  • 事業費:720億円増の8,377億円(2025年1月発表)
  • 次回:工事進捗に合わせて随時更新します

参考:NEXCO西日本・国土交通省連絡調整会議発表(2025年12月18日)、宇治田原町公式ウェブサイト、日経クロステック(2025年1月)、日本経済新聞(2024年2月)

WRITER

UJITAWARA-TSUSHIN

宇治田原町の変化を、現地確認と一次情報を大切にしてお届けします。